『海の彼方』

 石垣島など八重山地域に台湾から来た移民(国籍的に煩い書き方をすると「台湾系日本人」)がいるとは、この映画のことを知るまでは知識としてなかった。彼らは日本の台湾占領政策のとばっちりを受けて、八重山にやってきたのだ。貧困と辛酸を経験しながらパイナップルなどの栽培に活路を見出すも、また日本の政策で台湾に疎開させられたり、日本の敗戦後は今度は中華民国の政策や東アジア情勢に運命を左右され続ける。密航して沖縄に帰ったらそこはアメリカの占領下。いったい自分たちのアイデンティティは…。

 移民一世の生き残りであるオバァの米寿のお祝いで数十人もの親族が集まる話と彼女が数十年ぶりに帰郷する話をプライベートフィルム風に。ちょっと長い。